公開日:2010/10/15 23:48
このごろ、大地震に対する関心が高まっています。
テレビでは、大地震が来たらどうなるのか
シミュレーション的な番組が放送されたり、
国の対策としては、公共施設(学校、病院、役所建物)の
耐震改修工事があちこちで行われています。
でも、マンションや個人住宅の耐震補強は、そんなに進んでいません。
地震は怖い、と思いながらも、補強には多額のお金がかかるから、
重い腰が上がらないのが実情でしょう。
(何百万円もお金をかけて、住みながら工事をしないといけない。
大変だ~、とりあえず大丈夫かな)
でも、大きな地震があるたびに、耐震基準は見直され、
古い建物はどんどん型遅れになってきています。
そして、メンテナンス不足による老朽化、腐食の進行。
耐震上は悪い条件ばかりです。
そして、確認申請が必要になる増築や改築をする場合には、
既存部分の耐震改修が一緒に必要になります。
増築(又は改築)の部分だけのお金だけ考えていたら、
耐震改修部分にもお金がいることにびっくりするでしょう!
(お金のいることばかり!)
これは、「改正耐震改修促進法(平成18年1月施行)」によるもので、
既存建物に対する増築部分の規模によって、どこまでの耐震改修が必要なのかが変わってきます。
ちなみに、(平成18年11月時点では)
・松山市の場合は、基礎の補強までは必要ないですが、
壁量計算を現行法の1.5倍で計算して、不足部分の補強が必要です。
・八幡浜土木管轄の場合は、国の指針に従って、基礎も増し打ち補強が必要です。
上部構造については、耐震診断を実施して、基準値を満たすまでの補強が必要です。
役所によって、若干の違いがありますので、詳しくは役所で確認が必要です。
ということで、増築部分だけの工事では済まず、
今済んでいる部分も何らかの工事が必要になるということです。
たとえば、
冷蔵庫やタンスの背中側の壁を補強しないといけない。
引き違いの襖を壁にしてしまわないといけない。
とか、面倒なことばかりです。
かといって、耐震補強をしたら地震が来ても大丈夫なのかというと、
そうじゃありません。
大地震(震度6強以上)が来ると、建物はやっぱり壊れてしまいます。
壊れるけど、倒壊はしないでかろうじて残っている状態だったら良しとしましょうという考えです。
せっかくお金をかけて補強したのに、それでも痛んでしまうんだったら、
地震で壊れてから新築にしたらいいかな。と考えるかもしれません。
でも、倒壊した建物の中にいたとしたら・・・
家を建て替えるどころか、自分が死んでしまうかもしれません。
そもそもは、昔に建った建物も、今と同じように耐震性能があったら良かったんですけど。
技術が進歩しないとわからないこともたくさんあるということです。
仕方無いことですね。
木造の個人住宅ならいいけど、マンションはどうなるのかな・・・
もっと耐震補強は面倒でしょうね;
確認申請が必要なときは、既存建物の耐震補強も必要になります。
でも、確認申請が不要なときは、耐震補強をしなくても注意されることがありません。
ここで、建築技術者のモラルが問われる訳です。
役所に見つからなかったら、しなくてもいいのでしょうか?
そうではありません。
国が法律で「耐震補強をしないと危ないですよ」と言っている理由は、
国民の生命を守る為です。建築技術者は、建物を利用する人の安全を考えた
計画が必要ですし、説明が必要です。
役所に見つからなかったらいいという考えが、近頃の耐震偽装問題に繋がった訳ですから・・・。
いろいろ、あちこちに話が脱線しましたが、整理しますと
・確認申請が必要な増築(改築)の場合は、耐震補強が必要。
・確認申請が必要な増築(改築)の場合は、増築(改築)部分以外に、補強の余分なお金が必要になる。
・耐震補強をしたからといっても、大地震が来て壊れない訳ではない。
ということです。