住宅の住み心地に影響する条件の中に、騒音問題があります。
静かに読書している時に、隣の部屋からステレオの音楽やテレビの音が聞こえるとか、寝ているときのいびきの音とか(笑)騒音はイライラするものです。
マンションなどの共同住宅では、上下階の騒音が問題になります。
自分の家の中で、自分の子供が騒いでいる音だったら、まだ我慢ができるかもしれません。しかし、戸建住宅でも近頃は二世帯住宅が増えてきて、1階が親世帯、2階が子世帯という場合が増えてきました。
そうなると、下の階に住んでいるご両親は、イライラしているかもしれません(汗).
こんな具合で、騒音問題というのは快適に生活していく上では、結構重要な問題だったりします。
でも、以外に新築を計画しているときは気にしてなかったりします。
騒音問題の対策になる遮音性能について、まとめてみました。.
1.遮音性能を表す数値と、性能基準について
2.遮音性能をアップする方法について(木造住宅の場合).
1.遮音性能を表す数値と、性能基準について
■遮音性能を表す数値 D値とL値
空気音と固体音を遮る能力の高さを「遮音性能」、そのレベルを表す指標を「遮音等級」という。空気音の遮音等級は、壁や窓の外側と内側でどれだけ音圧レベルの差があるかを意味する「D値」(Sound Pressure Level DifferenceのD)、固体音の床衝撃音の遮音等級は「L値」(Floor Impact Sound
LevelのL)(重量床衝撃音は「LH」、軽量床衝撃音は「LL」)で表す。 .
■重量衝撃音
床衝撃音のひとつ。子どもが飛び跳ねたり、いすを動かしたときなどに、「ドスン」「ガタン」と大きく下の階に伝わる鈍くて低い音。床の材質が固くて重いほど遮音効果は高くなる。マンションでは床のコンクリートスラブが厚いほど遮音性はよい(梁で囲まれたスラブ面積の広さも関係する)。遮音等級は「LH-45」「LH-50」(Hは「Heavy-Weight」を意味する)という形で表し、数値が少ないほうが遮音性能は高い。.
■軽量衝撃音
床衝撃音のひとつ。スプーンなどを床に落として「コツン」といったり、スリッパで歩いて「パタパタ」するように、比較的軽めで高音域の音。軽量衝撃音の遮音性能は、床の構造や表面仕上げによって変わる。構造は直床よりも二重床、仕上げ材はカーペットのように吸音性が高いものほど良い。遮音等級は「LL-45」「LL-50」(Lは「Light-Weight」を意味する)などと表し、数値が少ないほうが遮音性能は高い。
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■ 日本建築学会による遮音性能基準と設計指針
床衝撃音レベルに関する適用等級 .
集合住宅
居室
隣戸間界床
特級=LL-40 LH-45
1級=LL-45 LH-50
2級=LL-50 LH-55
3級=LL-55 LH-60
戸建住宅
居室
同一住戸内2階床
特級=LL-45 LH-50
1級=LL-55 LH-60
2級=LL-65 LH-70
3級=LL-70 LH-75
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遮音等級(L値)と生活実感の対応例(床衝撃音) .
特級(特別)...学会特別仕様=遮音性能上特に優れている
1級(標準)...学会推奨標準=遮音性能上望ましい
2級(許容)...学会許容基準=遮音性能上ほぼ満足しうる
3級(最低値)... =遮音性能上最低限度である.
特級=特別に遮音性能が要求される使用状態の場合に適用する
1級=通常の使用状態で使用者からの苦情がほとんど出ず遮音性能上の支障が生じない
2級=遮音性能上の支障が生じることもあるがほぼ満足しうる
3級=使用者からの苦情がでる確立が高いが、社会的、経済的制約などで許容される場合がある
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軽量床衝撃音(LL) 重量床衝撃音(LH)
椅子の移動音、物の落下音など¦ 遮音等級 ¦ 人の走り回り、飛び跳ねなど
ほとんど聞こえない ¦ L-40 ¦ 遠くから聞こえる感じ
小さく聞こえる ¦ L-45 ¦ 聞こえるが気にならない
聞こえる ¦ L-50 ¦ 小さく聞こえる
発生者が気になる ¦ L-55 ¦ 聞こえる
かなり気になる ¦ L-60 ¦ よく聞こえる
うるさい ¦ L-65 ¦ かなり気になる
日本建築学会編「建築物の遮音性能基準と設計指針」に基づき作成.
2.遮音性能をアップする方法について(木造住宅の場合)
(1)軽量衝撃音について
「床対策」
①2階床仕上げを、吸音性のある素材にする
畳、カーペット、コルクフロア、クッションフロアなど
②2階床仕上げの下に、遮音マットを設置する
③1階-2階の天井内に、グラスウールなどの吸音材を設置する
④1階-2階の天井厚さを厚くする
「壁対策」
①部屋と部屋の間に、収納を設置する
②壁の中身にグラスウールなどの吸音材を設置する
③壁を厚くする。(石膏ボード二重張りなど)
④壁を天井までで止めず、梁まで通す
軽量衝撃音は、入居後にも対策をとることが可能です。たとえば、
①テレビやステレオのスピーカーと、床が接する間にマットを設置して、振動を抑える
②椅子の足にクッション材を巻く
③洗濯機や冷蔵庫などの足に、クッション材を設置する
などです。
(2)重量衝撃音について
①梁の大きさを大きくして、床剛性をアップする(床を硬くする)
床の剛性を上げて、振動が伝わりにくい構造にすることが、LH対策には必要なのですが、木造の場合、鉄筋コンクリート造のように剛性が確保できないので、なかなか対策が難しいのが現状です。
プラン計画において、1階親世帯の主寝室になる上階に、子供部屋を取らないなど、プラン計画での対策が基本になります。