ペアガラスの「遮熱タイプ」と「断熱タイプ」について

 ペアガラス(複層ガラス)は、ガラスとガラスの間に空気層を挟み込んだもので、シングルガラスに比べて断熱性能が高くなります。
 そのペアガラスにも、Low-Eタイプという、ガラス面に金属塗膜が施されたものがあり、赤外線を反射してより断熱性能を高くしているものがあります。
 このLow-Eペアガラスには、遮熱タイプと断熱タイプというのがあります。
 
 どっちがいいのか?(゚ペ)?
 
 カタログなどで調べても、いまいちよくわかりません。
 断熱タイプは、冬暖かくすごせる。
 遮熱タイプは、夏涼しく、冬暖かくすごせる。
 と書かれています。
 夏も冬も快適な、遮熱タイプの方がいいじゃない(笑)断熱タイプなんて用意しなくても、遮熱タイプだけでいいじゃない。ヽ(`Д´)ノ
 と思うのは私だけでしょうか?
 
 なぜ二種類用意されているのか?
 きっと、使い分けできるようにしているはずです。(・Ω・)ノ
 
 Low-Eペアガラスの遮熱か断熱かの違いは、大雑把に言うと金属塗膜が室内側にあるか室外側にあるかです。
 反射したい赤外線に近い側に金属塗膜を設置し、
 夏の強い日差しを遮る=室外側に塗膜=遮熱タイプ
 冬場の暖房を外へ逃がさない→室内側に反射させる=室内側に塗膜=断熱タイプ
 です。
 
 金属塗膜が室内側か室外側か、どっちにあるかで、その真ん中にある空気層が影響します。
 断熱タイプは、冬暖かくすごせるけど、夏は涼しくとは書かれていません。
 なぜでしょうか?
 空気層よりも金属塗膜が室内側にある断熱タイプは、赤外線の影響を空気層が受けることになります。
 空気層よりも室外側にあって、赤外線を遮断する遮熱タイプに比べると、空気層がちょっと太陽光線の影響を受けることになります。
 ということで、夏は遮熱タイプよりもちょっと熱いので、「夏涼しく」とはかかれていないんでしょう。.
 夏場はいいんですが、冬場は?
 遮熱タイプは、太陽光線を真っ先に反射してしまうので、空気層が暖められにくくなります。ということは、室内は太陽光線の影響をより(断熱タイプより)受けなくなるので、窓際でぽかぽかあったかいという感覚が少なくなります。室内の温度も、ゆっくりじわじわあったかくはなりにくく、暖房器具のみで暖房しないといけません。
 
 ぽかぽかとか、じわじわとか、どれくらい太陽光線で暖められるのかはよくわかりませんが。.
 「断熱タイプ」と「遮熱タイプ」の二種類用意されている理由が、なんとなくわかってきましたが、太陽光線をちょっと利用するか、完全に無視するかが理由のようです。.
 わかりやすく、具体的に数字で見てみると、
             日  熱
シングルガラス   0.88 6.0
一般のペアガラス 0.79 2.9
断熱タイプ     0.64 1.8
遮熱タイプ     0.39 1.6.
日=日射熱取得率の数値
熱=熱貫流率の数値
(ペアガラスFL3+A12+FL3 シングルガラスFL3の場合).
熱貫流率は、そのまま断熱性能です。数字が少ないほど断熱性能が良いということです。
日射熱取得率は、太陽光線でどれだけ暖められるかといことで、数字が少ないほど暖められにくいということです。.
熱貫流率は、断熱タイプも遮熱タイプも、同じようにいいですが、日射熱取得率に違いがありました。
遮熱タイプの方が、太陽光線の影響をより受けにくいということです。.
選び方としては、
「遮熱タイプ」を選ぶ場合
①日差しが強い窓(西日が強い西面とか)に。
②吹抜けがあったり、広い部屋で、夏場エアコンが効きにくい場所に。
 
「断熱タイプ」を選ぶ場合
①夏は風通しがよくて、冬の寒さが厳しいような場所に。
(冬場、太陽の日差しをちょっとでも利用してぽかぽか)
②夏の日差しが強いのは、すだれとか落葉樹で対策する。.
ガラスや外壁、断熱材など、そのものの性能を重視して頼りすぎるより、いろんなものを組み合わせて、生活スタイルで対応する方がいいように思ったりしました。

ペアガラスの断熱タイプと遮熱タイプについて
7000033477900uf.pdf
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