建築業界の体質(3)

公開日:2008/04/02 15:35


「どんぶり勘定」.
 住宅の工事金額は、坪単価(3.3㎡あたりの単価)が45万円とか坪単価50万円とか、「坪単価」の考えが浸透しています。この坪単価の考えが、どんぶり勘定を誘発する原因になっていると思います。
 
 長年の経験や、市場の慣習みたいなもので、だいたい平均的な金額が出ます。木造住宅の場合は、すごく豪華なキッチンとかお風呂とかにしたり、材旅費の高い外壁仕上げ材を使ったりしなければ、だいたいどんな住宅も同じくらいの坪単価になってきます。
 坪単価がだいたいの目安になって、家のプランが決まって面積がわかれば、だいたいの計算ができる訳です。.
 本当の工事金額算定は、使う材料の数量を計算して、職人さんが何日かかって工事するか計算して、そこに利益がのっかって、そうして算定するはずです。
 数量と単価という根拠があって、工事金額がでてきて、それを坪数(面積)で割って坪単価が出てくる訳です。.
 坪単価は、あくまで目安なのに、それを使って先に工事金額を決めてしまうと、どこまでが工事金額に含まれていて、何は別途工事なのかがあやふやになってしまいます。どんぶり勘定です。.
 このどんぶり勘定が、お客さんと工事業者さんとの間のトラブル、工事業者さんと下請け業者さんとのトラブルのきっかけになっています。.
 でも、なかなか坪単価の考えから脱出できない理由もあります。
 それは、プランができた段階で、それがお客さんが購入可能なプランでなかったら意味がありません。プランを考えながら、お客さんの予算に合わせてすぐに工事金額の概算を出す必要があります。いちいちプラン段階で積算して、見積とって工事金額を出して、でもプランが変更になったらまた積算のやり直し。すごく手間と時間がかかって、とても大変です。
 手っ取り早く金額を出すにはやっぱり「坪単価」が必要です。
 
 そして、このプランだったらこのくらいの金額ですって、だいたいの金額が出た後で、どんどん計画が進んで行って、いざ積算して工事金額を計算したら、坪単価で計算した金額よりも50万円オーバーしちゃった!
 そんなことになった場合、50万円余分に必要という話しをお客さんと工事業者さんがすることになります。そこで、「この金額で出来るって言ったのに、いまさら50万円も払えない」となるでしょう。
 すると工事業者さんは50万円値引き(サービス)するしかありません。
 その値引き金額は、下請け業者さんの発注費に響いてくる訳です。