木造住宅の建築確認申請の現実①

公開日:2008/08/08 19:32 .


(1)4号物件の確認の特例について.
「建築確認申請に合格していたら、大丈夫」
「建築確認申請で、図面を審査してくれているので安心」
そう思っているお客さんが多いんじゃないでしょうか?建築確認申請が、欠陥住宅の建築を防止する関所になっているはずだと。
 
 でも、建築確認申請は、設計内容をチェックするという目線で見ると、そんなに期待できるものではありません。
 「建築確認申請に合格していても、構造上問題がある」ということも、残念ながらありえます。.
 どうしてそんなことになっているのか。
 それは、
 
 ①建築確認申請は、”許可”じゃなく”確認”だということ
 ②設計業務は建築士が行う。建築士はきちんとした設計業務を行う
 ③建築物は、きちんと設計業務が行われる
 
 という前提に立っているからです。
 
 ②の前提に基づいて、一般的な木造住宅は、他の建築物に比べて建築確認申請の内容が更に省略されています。
 
 まずは、その省略について説明します。.
 4号物件と呼ばれている木造2階建ての一般的な住宅は、建築確認申請に付ける設計図書が省略されています。.
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「補足」
 4号物件=建築基準法第6条1項4号からきている。
 
 建築基準法第6条1項
  1号:別表第1(い)欄に掲げる用途に供する特殊建築物で、その用途に供する部分の床面積の合計が100㎡を超えるもの
  2号:木造の建築物で3以上の階数を有し、又は延べ面積が500㎡、高さが13m若しくは軒の高さが9mを超えるもの
  3号:木造以外の建築物で2以上の階数を有し、又は延べ面積が200㎡を超えるもの
  4号:前3号に掲げる建築物を除くほか、都市計画区域若しくは・・・(省略)・・・区域内における建築物.
 建築確認申請に付ける設計図書の省略=建築基準法第6条の3「建築物の建築に関する確認の特例」
 1項3号:第6条第1項4号に掲げる建築物で建築士の設計に係るもの
 
 建築士の技術水準、建築物の敷地、構造及び用途その他の事情を勘案して、建築物の区分に応じ、建築主事の審査を要しないこととしても建築物の安全上、防火上及び衛生上支障がないと認められる規定を定めるものとする。.
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 ということで、「建築士の技術水準にお任せして、建築確認申請の審査を省略します」ということになっています。.
 4号物件の確認申請に必要な図書はコレ。
 ・付近見取図
 ・敷地面積計算図(丈量図)
 ・配置図
 ・各階平面図
 ・仕上表
 ・床面積求積図
 ・立面図
 ・断面図.
 審査が省略されている図書はコレ。
 ・基礎図
 ・床伏図
 ・小屋伏図
 ・軸組図
 ・壁量計算(構造計算みたいなもの)
 ・接合金物図書
 ・使用材料表
 ・基礎地盤説明書
 
 大きく言うと、構造に関する図書がほとんど省略されています。設計を行う建築士に任せているというスタイル。.
 ここでまずびっくりするかもそれませんが、4号物件の建築確認申請では、基礎図も梁伏図も、壁量計算の図面もいりません。
 ということは、建築確認申請の段階では、それら構造関係の図面は作成されていないということもありえます。
 建築確認申請が、「欠陥住宅の建築を防止する関所」の役目を果たしていないというのはそのためです。