H12建設省告示1460号による柱頭柱脚接合部の仕様の際の注意点

 木造軸組構法住宅の耐力壁が取り付いている柱の柱頭柱脚は、仕口金物で補強することが法律で定められています。
 仕口金物の仕様は、柱頭柱脚に作用する応力に対して(い)から(ぬ)まで定められていて、壁量計算+仕様規定で構造計画を行う場合、作用する応力の確認方法としては次のふたつの方法があります。


(1)告示の仕様(平成12年建設省告示第1460号)
(2)N値計算


 告示の仕様の場合、計算を行わなくても一覧表から選択することで仕口金物の仕様を決めることができます。しかし、告示の仕様は前提条件があります。


(1)耐力壁が連続しない(隣り合う壁は非耐力壁)
(2)上下階は同じ耐力壁が連続する
(3)筋かい耐力壁の場合、方向は考えない
(4)耐力壁の仕様を限定している


となっていて、告示の仕様に当てはまらない耐力壁の場合は、この方法で仕口金物の仕様を決めることはできません。

 告示の仕様を使った仕口金物の仕様を決める方法は、検討したい柱の位置(1階か2階か、出隅かそうでないか)と、その柱に取り付いている耐力壁の仕様で選択します。耐力壁が取り付いている柱について確認することになります。
 ここで注意が必要なのは、”柱頭と柱脚の金物は同じ金物を使用する”ということです

 間違えやすいのが、2階が耐力壁で、その直下は非耐力壁の場合です。
 
 告示の仕様では、耐力壁が取り付いている柱について確認するので、上記の場合だと1階の非耐力壁は確認を忘れそうです。しかし、2階の耐力壁により生じる応力は、柱を伝って1階に伝わるため、直下の非耐力壁の柱にも応力が生じます。
 柱頭と柱脚の金物は同じ金物を使用するというルールにより、2階の柱頭と柱脚の仕口金物は同じになります。1階の柱頭も、2階の柱脚と同じ金物になり、1階柱脚も同じ金物になります。
 このことを、N値計算で確認すると、抑え込み効果を考慮するので2階の仕口金物よりも応力が小さくなりますが、1階にも金物が必要なことがわかります。

 告示の仕様を使う場合の注意点について。
 2階の壁倍率の方が、1階の壁倍率よりも大きい場合、告示の仕様では仕口金物が小さくなる(危険側)場合があります。
 先に書いたように、告示の仕様を使った仕口金物の仕様を決める方法は、検討したい柱の位置(1階か2階か、出隅かそうでないか)と、その柱に取り付いている耐力壁の仕様で選択します。
 1階の耐力壁を検討する場合、告示の仕様では2階も同じ耐力壁がある前提ですので、実際と異なることになります。
 このことを、N値計算で確認すると。